人間ドック・健康診断コラム

ピロリ菌と胃がんの関係!その検査と除去する方法

ピロリ菌と胃がんの関係!その検査と除去する方法

監修:健診プラザ日本橋

胃がんを引き起こす「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」なる細菌が存在することは、今では広く知られるようになりました。ピロリ菌はなぜ胃がんの要因となるのでしょうか。また、その検査法と除去方法にはどのようなものがあるのでしょう。気になるピロリ菌について解説します。

ピロリ菌と胃がんの関係

1994年、WHO(世界保健機関)はピロリ菌を「確実な発がん因子」と認定しました。また、WHOの国際がん研究機関は、ピロリ菌除菌には胃がん予防効果があるということを認めています。もともとピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を誘発するものとして研究され、その後、胃がんの発症にも関わっていることが明らかになったという経緯があります。

ピロリ菌感染者が胃がんになる確率は、ピロリ菌を持っていない人に比べて20~30倍に跳ね上がるとの報告もあります。実に胃がんの99%はピロリ菌感染がベースにあると言われるほど、現在ではピロリ菌と胃がんは明らかに深い関わりがあると考えられています。

ピロリ菌は体長約3×0.5μmの胃の粘膜に生息するらせん形の体とべん毛を持つ細菌で、1983年に発見されました。日本でのピロリ菌感染率は20代で10%以下、30代で15~20%、50代で50%以上、50代以上に限定すると70%以上と言われています。高齢者に多いのは、上下水道が完備していなかった時代にピロリ菌に感染した人が多いためというのが通説です。なお、ピロリ菌に感染するのはほとんどが免疫の完全ではない、5歳以下の幼少期であることもわかっています。そのため、現代では両親や祖父母が保菌者である場合に、赤ちゃんに食べ物を咀嚼して与える行為が感染源の一つになっていると考えられます。

胃がんになるまでの流れ

ピロリ菌に感染していることがなぜ胃がんにつながるのでしょうか。

日本人が持つピロリ菌はほとんどが「CagA(キャグエー)」という毒素を作るタイプです。この毒素は人のたんぱく質であることを装う発がん物質です。ピロリ菌は体の表面から突き出している微細な注射針のような器官を使って、このCagAを胃の細胞内に注入します。CagAは、人の細胞がもともと持っている増殖を抑制する機能を狂わせます。結果、異常な細胞の増殖が引き起こされて、細胞ががん化すると考えられています。ピロリ菌にとってこの行動は、胃酸を減らして自分がいる環境をすみやすくするためのものです。

ピロリ菌感染者は、慢性胃炎により炎症が持続し、年齢とともに次第に胃粘膜の萎縮が進んでいきます。慢性胃炎はほとんどが無症状ですが、胃酸の分泌量も減少するので、消化不良や胃の不快感などが見られることもあります。その後、胃がんになると食欲不振、吐き気、貧血、体重減少などが見られるようになります。

ピロリ菌感染症の検査方法

ピロリ菌に感染しているかどうかは、抗体を調べる血液検査か尿検査、抗原を調べる便検査、検査薬を服用して呼気を調べる呼気検査、胃の粘膜を直接採取して調べる内視鏡検査があります。

このうち、最も信頼性が高いのは呼気検査です。内視鏡検査であれば胃炎などが起きているかどうかも確認することができます。

また、最近では健康診断などで「胃がんリスク検診(ABC検診)」が受けられます。この血液検査では、ピロリ菌の血清抗体の有無に加えて、胃の粘膜委縮度がわかるペプシノゲンという物質についても調べることができます。その結果を組み合わせて、胃がんのリスクを、A~Dの4段階で判定します。まずこの検査の判定を行い、リスクが高ければ内視鏡検査に進む方法を取るのも良いでしょう。

ピロリ菌除菌の方法

ピロリ菌除菌は、2種類の抗菌薬(アモキシシリン、クラリスロマイシン)と、胃酸分泌を抑える薬を1週間飲みます。除菌成功率は70%と言われ、不成功の場合は薬を変更して2次除菌を行います。除菌に伴う副作用は軟便や下痢、味覚障害などで、まれにアレルギー反応として蕁麻疹が出現することもあります。中には逆流性食道炎になる人も見られますが、これはピロリ菌除去で胃の調子が良くなり、食べ過ぎなどの食生活の変化が起こることが一因という指摘もあります。

ピロリ菌除菌は胃がん予防だけでなく、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気を治癒する効果も期待できます。まずは、胃がんリスク検診などから試してみてはいかがでしょうか。

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